ローマ躍進の道のりも、カエサルの壮年期に入ってきました。壮絶な。
なるほど、あの聞いたことのある ”ブルータスおまえもか” はここで出てきたのか。
と分かったような気になっていたのですが、七生さんの切り口では、シェークスピアのは事実と違うらしいのです。
シェークスピア破れたり!? いや、史劇は作者の創作の部分が多々あるということでしょう。
七生さん、惚れてしまうぐらい素晴らしいです。
というか七生さん、カエサルに惚れてますねぇ~。
この執念のような力はカエサルから来ている様な気が...
七生さんの描くカエサルにはそれだけのものがあります。
戦争のセンスと政治のセンス共に人並みはずれたものを持ち、そして何より揺がない目標(目指す姿)があるということ。
それにしても、カエサルはドンドン勝ち進んでいきますなあ。負けない。
不利な状況になることも多いのですが、独創的なアイデアもいれて最期には逆転勝利してしまう。
そして特筆すべきは、その進め方に終始一貫し、ブレがないこと。
進むべき方向は、ローマ世界の平定。ローマを中心とした平和の実現にあるのです。
もちろんカエサルの考える姿での国の安定なので、万人が満足した状態とは必ずしも言えないのですが、しかし、侵攻に侵攻を重ね国を拡大するとか、属州から接収し富を集中するとか、そういうことを目指したものではないのです。
そしてカエサルが示したことは "寛容" ということ。
敵も許すということ。敵であっても処刑しないばかりか、見方の要職にも適用してしまう。
七生さん曰く、これはカエサルが優しい人であったというのではなく、
1)自分が誰よりも上に位置するとの認識にあり、他の者は嫉妬や憎悪の対象にすらならないこと
2)許して見方つけた方が役に立つし、ローマ世界の完成には有用な者を活用すべきであること
と考えてのことであったと。
しかしそこで起こったカエサル暗殺は、この寛容により許した者によりなされたのです。
カエサルは、許したが、当人は心底許されたとは信じられなかったということ。
それが疑心暗鬼を生み、そしてカエサルの超越した姿と行動を見るにつけ、不安になってしまった。
それでは何に不安になったのか???
カエサルがローマの王になり独裁者になることを避けなければならない。とブルータスは言う。
そして彼をそそのかしたカシウスが言う。総勢14名が言う。
しかしそうであったのだろうか。もっと本質的なところにあるのは、
端的に言えば、自分が除け者になる不安と恐怖をもったのではないかと思う。
カエサルから見放される恐怖。
元老院の権威を拠り所にした体制がなくなり自分の存在意義がなくなる不安。
その様な心情がカエサル暗殺という暴挙に走らせたのではないか。
暗殺後の彼らの動揺する状況がそれを物語っている。
暗殺が成った後に何をするかまで考えずに動いたのであるから。
その奥には、カエサルが凄すぎたこと。そして皆がそのカエサルの本当のところを理解できていなかったことに原因があるのではと思う。
自分が理解できないものには恐怖心を抱くものだから。
カエサルは凄いです。七生さんがそう描いています。
一方、周辺の方々はガタガタですな。
ポンペイウスから始まって、ブルータスも、キケロも、小カトーも、カエサルの様なキレが見られません。
優柔不断というか、思想が定まらないというか。
七生さんにかかれば、
カエサルなき後をとろうとしたアントニウスにいたっては、「肉体だけではなく頭脳も剣闘士なみ」の男だし、
世にいう絶世の美女クレオパトラも、「知性を疑うしかない愚挙」をしでかす色仕掛け女になってしまう。
結局、カエサルを抹殺したはいいが、その後を引き受けられる人はいなかったとういこと。
それだけカエサルが偉大であったということでしょう。
それにしても現在の我々の日常生活の中にもカエサルの影響を見ることができます。
ユリウス暦(1年=365日)は彼が制定したもの。本書には他にもたくさん出てきます。ナルホド
先見の明は凄いですね。創造的天才。
本質を見抜く力と、先入観のない姿勢、そして一級のアイデアマンであった。
ローマはここに来て、大きな変革の時を向かえ、帝国へと進んでいきます。
そう、カエサルが亡くなってローマ滅亡とはならなかった。
一瞬は混迷しますが、やがて次の躍進の時を迎えるのでしょうか。(これから読むので。。。)
仕事でも家庭でも言えることだと思います。
自分がいなくなっても、それで終わりとはならないのでしょう。
恐らく誰かが引継いでやってくれるのでしょう。
しかし、いやそうであるからこそ今の自分にできることを、精一杯やらなくてはならない。
そう思います。
さあて次は、6巻目に突入だあ~
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