2010年6月13日日曜日

【書評15】 ローマ人の物語 Ⅵ

ローマ人の物語Ⅵ パクス・ロマーナ

 塩野七生氏のローマ人詳説シリーズ第6弾!デス
Ⅴからずぅ~と間があいてしまいましたが、 やっとⅥ を読み終わりました。

アウグストゥスの抱いたローマの未来 『ローマによる平和』 を実現していく快進撃の物語です。

カエサルが最初に示したローマの姿の原型を受けて、その意思を引き継いで、一生をかけてローマ帝国への道を進めていく アウグストゥス。

時間をかけて、確実に、少しずつ、少しずつ、、、
そして、初代皇帝へと辿り着きます。 

カエサルの大胆さとスピード感はありませんが、ローマを安定期に導いたアウグストゥス。
その偉業に驚嘆せざるを得ません。

 彼は無比なる意思の強さをもち、自分の思うとおりにローマを回していったのですが、
しかし、実は彼は真面目で誠実な人であったのだと思います。
カエサルより託されたローマの青写真。
これを完成させることを自分の使命として受け止め、
人生を掛けて、人生を捧げて、ローマ世界の統一にあたったのです。
全てはローマ人のために。

”野望”という言葉がありますね。
辞書では分不相応な望み。また、身の程を知らない大それた野心」とあります。
しかし野望は、自分の欲望のために人を欺いて、陰謀(悪事)をはたらくというイメージと重なるのではないでしょうか。

 カエサルの野望、アウグストゥスの野望 ドウデショウカ?
この二人にとっては、それは大それた野心ではなく、本当に達成できる野心だったわけです。
そしてもうひとつ、自分の欲望に任せて行ったことだったのでしょうか?
そんな欲望だけで、これだけの大仕事が成されるものなのか。
人々の支持、納得、共感を得られるものなのか。

カエサルもアウグストゥスも、私利私欲ではなかった。
それが使命であった。心底、それが使命であると信じていた。確信していた。
ということでしょう。

 そして、ここが重要だと思うのですが、
その使命を果たせる様な気がしていた。
イメージの中では、進む道が見えていた。
その道の先にあるローマの世界が見えていた ということ。
だから怖くは無かった。確信をもってことにあたる事ができたのだと思います。

 人は事を成すとき、それが(成された時に振り返ってみたら) 始める前に既にゴールのイメージが見えている。
だから強い、だから迷わない(迷ったとしても答えを出せる)。
だから成功するのです。 ソウオモウノデスガ。。。。。


 さて、アウグストゥス 晩年は少し人間味がでていました。
迷いがでてたのかも知れません。
 そして、悩んだことにより、人に託すということができるようなった。
人に託す。 これは大切なことです。
 アウグストゥスも人に託すことができた。
だから、皇帝が2代目、3代目、、5代目、、と継続することができた。
 
 道のイメージがハッキリ見えている間は、自分を信じて突き進む!!
そして、それが達せられたとき。

 ” 人に託す ”

そんな教訓を教えられた1冊でした。

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