2009年4月14日火曜日

【書評2】ローマ人の物語

 塩野七生さんの渾身の作です。
1年に1冊ずつ刊行し、15巻まで続く、壮大な長編となっています。(といっても、まだ3巻めまでしか読んでませんが...)
 私は歴史自体が苦手で、めったに歴史物を読まないのですが、友人に紹介されて読んでみました。
いや~びっくりしました。感銘を受けました(本当)。
ローマ人は一味違いますなぁ。そして今の時代の人間にも通じるものがあり、非常に参考になります。
今は100年に一度の経済危機といわれますが、そんなこと大した事ないよ と思わせてくれます。
 1巻はローマ人の発祥の頃、2巻はハンニバルの攻撃にボロボロになりながらの時代、3巻は混迷を経て新しいローマが現れ始める頃となっています。
 ローマ人の凄いところ
  ・独裁政治ではなく、選挙で代表を選ぶ。
  ・多神教で自由度がある。
  ・敵も受け入れてしまう。
  ・法律で決めて判断する。
  ・外部の知識や文化を取り入れる。
どうですか、今の時代にも通用するところあるでしょう。
 そして外部の人間もどんどん取り込んでローマ人の仲間(同盟国)にし、更にはその人たちにもローマ市民権を与えて完全にローマ人にしてしまう。
甚大な犠牲者が出た戦争の敵国であっても、潰してしまうのではなく、仲間にしてしまう。
そしてこのやり方を何百年にもわたって貫いたところが凄いし、ローマ帝国へ拡大する要因になったのだと思います。
 映画「ガーディアン ハンニバル戦記」も見ると実感が深まりますよ。
 そういえば最近、テレビのインタビューで塩野七生さんを拝見しましたが、ただ者ではないものを感じました(印象は良かったのですョ)。リーダー論についても言われていましたが、説得力がありました。
 
 さあ、あと12冊。最後まで読むよ。そのつもり。




1 件のコメント:

Cato さんのコメント...

私も「ローマ人の物語」読みました。
ローマには昔から興味があったのですが、機会に恵まれず長年なかなか本を読まずにきたのですが、この本に出会ってローマのすごさに圧倒されました。
「ヨーロッパを本当に理解するには古代ローマを知らなければならない」とは時に耳にしますが、その意味が少し分かった気がしました。
建国以来ローマは戦争につぐ戦争を行ってきたようですが、ポエニ戦争の凄まじさには、本当によく長期にわたって耐え切ったなあと思います。
また、同盟市がほとんど離反しなかったローマの統治力にも驚かされます。
(日本にもこれくらいの政治力があればなあ、などと思うのは欲張りすぎでしょうか?)

イタリアサッカーが伝統的に守備重視というのがなぜなのか、長い間理解できずにいたのですが、これらローマの歴史を知ってなるほどなあと思いました。
負けなければOKとはローマの歴史が物語っています。
同じ意味で、ボクシングなどの試合でドローだったらチャンピオンの防衛が成り立っているのも肯けるようになりました。

ところで、第三巻の「勝者の混迷」ですが、同盟市戦争がなぜ起きて農地改革がなぜ必要だったのか?について本書では触れられていないこととして、ファビウス等の持久戦略が影響していると指摘している人もいます。
足掛け16年にも渡って、ハンニバルに居座られたイタリア各地が疲弊し、農地が荒れて農民である自由市民が没落したのは無理からぬことだと思います。

あっ、しまった。
私はカトーでした。
私ともあろう者が「ローマの盾」とまで呼ばれたかのクイントゥス・ファビウス・マキシムスを批判してしまうとは!

というわけで、お決まりの文句で締めさせてもらいます。
"Ceterum censeo Carthaginem esse delendam".(ともあれ、カルタゴは滅ぶべきである。)

Cato